日本のWebは「残念」じゃないよ。
お久しぶり、しおです。
先月に話題になった『日本のWebは「残念」』というITmediaに掲載された梅田望夫氏のインタビューについて、日本人じゃない人、それから日本のウェブが大好きな僕の視点から少しだけ取り上げたいと思う。
梅田氏のインタビューについては色々な意見があちこちで出ているみたいだけど、それはとりあえず別にして、感情的に梅田氏が使った「残念」という言葉についてまず集中したい。「残念って何が残念?」って。「アメリカと違うから残念なの?」って、などなど。あの言葉の使い方に対しての僕の反応は最初結構激しかった。腹立ったよ。
どうしてかというと、「残念」というのは「米国とはずいぶん違うもの」という基準での評価だから。言うまでもなく、米国のウェブは日本のウェブよりずっと進んでいるわけ、という感じだった。少なくとも米国のウェブを触れた人はそう思うわけ。
そういう考え方のではないか、と。
カナダに以前4年間住んで、細々とプログラマーをやっていた身からすると、梅田氏の英語圏と日本語圏の文化の違いについての指摘は、しごくもっともで、英語圏在住のまともな日本人ならだいたい同意するんじゃないかな。
そもそもみんな英語圏の内情を理解してるんかな。[...] 梅田さんは日本語のウェブと英語のウェブの両方をかなり深く知っている稀有の日本人には間違いない。みんな英語圏のことがわからないなら、黙っていればいいのに。
それはどうかな。
まずは関係している梅田氏のインタビューからの引用:
英語圏の空間というのは、学術論文が全部あるというところも含めて、知に関する最高峰の人たちが知をオープン化しているという現実もあるし。途上国援助みたいな文脈で教育コンテンツの充実みたいなのも圧倒的だし。頑張ってプロになって生計を立てるための、学習の高速道路みたいなのもあれば、登竜門を用意する会社もあったり。そういうことが次々起きているわけです。
「知に関する最高峰の人たち」って、もうイヤーな感じ。大嫌い、こういうのは。本当に。「学習の高速道路」などって話。あまり説明できないけど、生理的に受け付けない、僕は。
多分それは日本のネットサブカルチャーの影響かな。あまりニコニコ動画にハマっているわけではないけど、そのようないわゆるサブカルチャーのものの価値が分かる。濱野智史氏の「アーキテクチャの生態系」や、佐々木俊尚の「ブログ論壇の誕生」など、こういう本を読んで、日本のウェブの特有な価値がよく分かる。こういうブロガーの文章を読んだら分かる。
- 作者: 濱野智史
- 出版社/メーカー: NTT出版
- 発売日: 2008/10/27
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 99人 クリック: 1,146回
- この商品を含むブログ (262件) を見る
- 作者: 佐々木俊尚
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2008/09/19
- メディア: 新書
- 購入: 2人 クリック: 130回
- この商品を含むブログ (69件) を見る
で、その特有な価値は、きっとアメリカのネットにはない。サブカルチャーとも言うけど、それはこれから大事になるサブカルチャーだと思う。
っていえば、それについて梅田氏がこう書いた:
素晴らしい能力の増幅器たるネットが、サブカルチャー領域以外ではほとんど使わない、“上の人”が隠れて表に出てこない、という日本の現実に対して残念だという思いはあります。そういうところは英語圏との違いがものすごく大きく、僕の目にはそこがクローズアップされて見えてしまうんです。
「上の人」?気持ち悪いなー。
私も「バカと暇人」の一人かな。
そういえば、佐々木俊尚が梅田氏のインタビューについて面白いことを書いた:
「バカと暇人から文化は生まれるんだよ。」
そうだよ!もう、この「上の人」の話をやめようか。もうイヤです。アメリカをとりあえず無視して、日本のサブカルチャーの可能性に集中しようか。そこは価値があるから。
梅田さん、日本のWebは残念じゃないですよ。